「意味わかんねえだろ?いきなり現れてチームを解散させろなんて。だから俺と楓也、チームの連中はそれはもうチヅに頭に来てすぐに殴り掛かろうとした。けど俺の拳は呆気なくチヅに避けられた。隙をついて繰り出した楓也の蹴りも。何度も何度も避けられた。終いにはチヅに思いっきり鳩尾殴られた。立てなくなるほど的確に、強くな」
当時を思い出してるのか昴さんは痛そうに顔を歪めている。
「そんで気づいた。最近チームの奴等がやられて帰ってきてたのはこいつの仕業だったって。暴走族ってのは喧嘩の強さでトップが決まるんだ。そうじゃねえと後ろが着いてこねえからな。だから俺と楓也がチヅに殴られた時確信した。それと同時にこいつには適わねぇって思った」
「⋯⋯」
「チヅには適わねぇ。けどチームを解散させろなんて受け入れられねぇ。だから俺と楓也は理由を聞いたんだ。そしたらチヅは“気紛れだ”って言ったんだ。おもしれぇだろ?」
そう言って笑った昴さんはその時のことが余程面白いのか見たこともない笑みを浮かべていて、昴さんもこんな風に無邪気に笑うんだって一瞬思ったりした。
「だから俺はチヅの言う通りにしようって思ったんだ。それが俺の下になれとかだったら意地でもやり合ったけど、気紛れだぜ?何か面白くてよ。それに、俺はチヅに負けた。地に背こそつけてなかったが、やり返す気さえ何故か起こらなかった。それは楓也も同じだった」
「それでチームは解散したんですか?」
「ああ。解散した。大体はトップだった俺らの意志に従ってくれた奴等もいたが、当たり前だけど中には納得しない奴等もいた。けどそんな奴等もチヅを見ていくうちに、喧嘩がなくなった街を見ていくうちにチヅに着いてくるようになった。カリスマ性ってやつだ」
ボロボロになるまで何が楽しいのかわからない喧嘩をしていた人達。
そんな人達が自分達の象徴であったであろうチームを解散させた張本人である千鶴さんに着いていくなんてにわかには信じられないけれど、千鶴さんなら。
千鶴さんだったらそれが出来てしまう気がする。
男女問わず人を惹き付けてしまう千鶴さんなら。



