君ありて幸福 【完】


「チームの中にはそこら辺に居る奴らに喧嘩を吹っかける奴らもいてな、そいつ等がある日大怪我して帰ってきたことがあったんだよ。最初は運が悪かったんだと思った。けどそういうことが続いた」

「⋯⋯」

「喧嘩を吹っかけて返り討ちにあう奴等が多くなっていったんだよ。チーム内では結構な大事になってそいつは誰なのかって大騒ぎになった。最初は敵対してた楓也のチームの奴等かと思ってたが楓也のチームの奴等ならわかってる。それに楓也のチームの方も同じような被害が相次いでいた。そんなことが起こっていた時たまたま、俺と楓也が鉢合わせた日があった。そこで初めてチヅを見た」





そう言いながら昴さんは短くなった煙草を灰皿に押し付けた。






「結構すごい喧嘩だったんだぜ?俺と楓也が正面からやり合って、当然他の奴等も入り乱れて大乱闘。周りにいた一般の人は皆恐れてその場からいなくなった」


「⋯⋯」


「俺も楓也も他の奴らも数時間やり合った。ボロボロになりながらも意地の為、チームの為、一歩も退かなかった。けど、お互い限界だった。殴り合って、フラフラになって、きっと後一発どちらかが拳を当てれば倒れる。地に背をつける、そんな時だったんだよ、アイツが現れたのは」


「千鶴さん、ですか?」


「ああ。⋯俺と楓也がお互いに殴り掛かろうと踏み切った瞬間、あいつ近くにあった店の非常階段から飛び降りてきたんだよ」


「飛び降りっ⋯!」


「二階からだったけどな、いきなり俺と楓也の間に飛び降りてきたんだもんだから俺達はビックリして思わず動きを止めた。もちろん他の連中もな」


「そりゃあビックリしますよね、二階から飛び降りてきたなんて⋯」


「そうだな、けどすぐに冷静になってチヅに怒鳴り飛ばした。誰だって、邪魔すんなってな。そしたらチヅはうるせえって一言言って今すぐチームを解散させろって俺と楓也に言いやがったんだよ」