君ありて幸福 【完】



どうして荒れていたことが昴さんと楓也さんのせいなの?


不思議に思いながら昴さんを見る。



「ここら辺には昔から二つのチームがあったんだよ」

「チーム⋯?」

「簡単に言えば暴走族ってやつだ」



暴走族という聞き慣れない言葉にすぐには内容を理解出来なかった。




「暴走族ってあの、暴走族ですか」

「お前がどの暴走族のことを言ってんのかしらねーけど多分そうだ」

「あのパラリラパラリラってやつ⋯」

「⋯お前いつの時代の人間だよ」

「違うんですか?」

「違げーよ。だけどまあそんなイメージだ」

「はあ⋯」


曖昧に頷いたあたしに詳しい説明は省いたのか昴さんが話を続けた。




「んで、その二つのチームは昔から敵対してた」

「敵対⋯」

「そこら中で喧嘩、喧嘩なんだぜ?相手チームの奴と鉢合わせちゃあ即殴り合い。クスリとかこそ蔓延してなかったけどな」



そう言って昴さんは少しだけ口の端を上げたけれど何も面白くない。

そこら中で喧嘩なんて笑えない。

クスリとか蔓延してないことが普通だし。



「笑えません」

「お前にはそうだろうよ、けど実際三四年前はそれがこの辺の現実だったんだ」



だけど口元とは裏腹に昴さんの瞳は至って真剣で、それが現実だったんだと思い知る。