わかってるはずだよ、千鶴さんはすごく遠い人で、たくさんの綺麗な女の人が周りにいるって。
わかってるはずだよ、傷ついちゃダメだって。
それに昴さんだって悪気があってそう言ってるんじゃない。
事実を教えてくれただけ。
だから⋯⋯。
「そうなんですね」
傷ついた顔をしたらいけない。
「昴⋯」
「あ?」
昴さんの脇腹を肘で小突く楓也さんはあたしの気持ちにきづいているのかもしれない。
優しくて、鋭い人だから。
気を使わせちゃいけない。
ズキズキする心に蓋をして必死に笑顔を作る。
「昴さん、隣に座ってもいいですか?」
「あ?何で俺の隣にお前が座るんだよ」
「千鶴さんが居ないのにあそこに座るのは気が引けて」
「普通に座ればいいだろーが、意味わかんねえ」
「お願いします」
「なら梓から酒もらってこい」
「昴!雪乃ちゃんいいからね、下のやつに持ってこさせるから」
結局昴さんは隣に座ることを許してくれて、楓也さんはいつものように下に待機している人にドリンクを持ってくるように指示していた。



