君ありて幸福 【完】





「雪乃ちゃん忘れ物ない?」

「はい、大丈夫です」


それから数時間経ち、あたしとあさみは帰る準備を始める。



「送ってかなくて大丈夫?」

「大丈夫です。ありがとうこざいます」

「気をつけてね」


穏やかに笑う楓也さんに頷き、千鶴さんと昴さんにも会釈をする。


千鶴さんは何も言わずにあたしを見ている。




「⋯千鶴さん⋯」



漆黒の瞳を見ながら、昨日のことを思い出す。



今日もこの後、女の人と⋯⋯⋯、




ってダメダメ。

そんなこと考えたって何も変わらない。
千鶴さんが誰と何をしていようがあたしに関係ない。



関係、ないんだから⋯。




「ありがとうございました」



最後は千鶴さんから目を逸らすようにしてTrustを出た。