「ち、千鶴さんっ⋯?」
真面目な表情であたしの髪の毛に触れる千鶴さんに戸惑わない訳がなく、あたしの心臓はどんどんと速さを増していく。
漆黒の瞳が限りなく近くにある。
なに⋯、この状況。
肌に触れているわけじゃないのに髪の毛から千鶴さんの温もりが伝わってくる気さえしてくる。
恋人は疎かましてや好きな人さえ出来たことがなかったあたしは男の人への免疫なんてあるはずもなく⋯。
もうダメっ⋯。
「千鶴さんっ⋯、」
恥ずかしさと緊張でぎゅっと目を閉じた。
「取れた」
それと同時に聞こえてきた声に、頭にはてなマークが浮かんだ。



