「お前は⋯」
「え?」
「お前はしないのか?」
お前はしないのか?って一体何のこと?
「しないのかって、何をですか?」
何のことを言っているのかわからず戸惑っていると
「ピアス。お前はつけないのか?」
ジーッとあたしを見たまま千鶴さんが言った。
ピアスの事か。と納得するのと同時に話の流れ的にそれしかないよなと今更ながらに思った。
だけど千鶴さんはトロイあたしに嫌な顔をせずに、真面目な顔でもう一度「つけないのか?」と問い掛ける。
「ピアス⋯ですか」
「ああ」
「ピアスはつけないです」
「何で」
「色々理由はありますけど⋯」
「色々?」
「はい。校則とか⋯あとは怖いんです」
「怖い?」
奇怪そうに千鶴さんがあたしを見た。



