君ありて幸福 【完】



遠い雲の上の存在だと思ってた千鶴さん。

もちろん今もそうなんだけれど、でも何だか不思議な感じがした。




千鶴さんが遠いって感じるのに、あたしなんかとは全く違う存在だと思うのに。

それなのにこうしてあたしは今千鶴さんの隣にいる。



ここに来る度フロアからこの二階席を眺めて、あたしには届かない存在だと思うのに。

あたしはその見上げた二階席にいる。




勘違いなんてしないけど、千鶴さんが遠い人なことは変わらないけれど。



今その人の隣にいることがすごく不思議だった。