君ありて幸福 【完】





隣に座る千鶴さんからは爽やかな香りがした。


香水とか、付けてるのかな⋯?


今までいい香りだなとしか思わなかったけどそうなのかもしれない。


千鶴さんから香る爽やかな香りに安心感を覚えた。






「よく気づいたな」


そんなことを考えているとふいに千鶴さんに話しかけられて首を傾げる。

そんなあたしに「気付かないと思った」と言われて少し考えた後、ああ、さっきのことか。と理解した。



「来いって口が動いていた様に思ったので⋯」

「そうか」

「はい。あの⋯勘違いじゃなかったですか?」



もしも勘違いだったらすごく恥ずかしい。

だけど「いや⋯合ってる」と言った千鶴さんにホッと胸を撫で下ろした。