君ありて幸福 【完】




その途中、一階にあるソファ席の前を通らなくちゃいけなくて、そのソファ席には今日も綺麗な女の人達が座っていて、その中に昨日千鶴さんと歩いていた女の人を見つけた。


「っ、」


本当に綺麗な人。

頭の先から爪の先まで綺麗に整えられていて、露出の多い服もいやらしく見えない。

大人の女の人。




思い出したくないと思ってもどうしても昨日の光景が頭を過ぎる。



千鶴さんと、女の人。

腰に添えられた、男らしくも綺麗な千鶴さんの手。



あたしには関係ないと、あたしが千鶴さんに想いを寄せているだけで傷つく資格なんてないとわかっていても、ソファ席から突き刺さる鋭い視線なんて比じゃないほどの胸を抉られるような痛みを感じた。





俯きながら、ソファ席の前を通り過ぎた。