あたし達とは反対の方向に進んで行く千鶴さん。
大勢の人に囲まれて少しずつ遠くなっていく背中に、苦しくなった。
「やっぱ千鶴さんは人気だねえ」
「そうだね⋯」
知っていたはずなのに。
聞いていたはずなのに。
千鶴さんの女の人関係の話は、あさみに教えてもらっていたはずなのに⋯。
特定の彼女を作らずフラッと色んな綺麗な女の人と遊んでいることを。
忘れていたわけじゃない。
忘れていたわけじゃないけど⋯、それを思い出してもいなかった。
ただ、千鶴さんと過ごす時間だけを、馬鹿みたいに楽しんでいた。
その時間さえも彼の気まぐれなのに。



