「お化粧もした方が良かったかな···?」
普段もあまらお化粧をしないあたしは今日もお化粧をしてこなかったんだけど少し後悔した。
せめてこの地味な顔だけは派手にした方が良かったかな、と。
そんなことを考えているあたしの肩をあさみがガシッと掴んだ。
「···っ!」
いきなり肩を掴まれた事に驚いていると怒ったあさみの顔が目の前にあった。
「いいの!雪乃は!」
「えっ···?」
目の前で怖い顔をしているあさみの言っている意味がわからずに戸惑っているとあさみは今度は大きなため息を零す。
「雪乃はいいの。化粧なんてしなくてじゅーぶん可愛いんだから。そのナチュラルな美しさを生かしてよ。メイクしても可愛いよ?可愛いけど何か変な男も寄ってきそうだし···」
だんだんと1人言のように小さくなっていくあさみの言葉はやっぱりよくわからない。
「あ、あさみ?」
未だにゴニョニョと何かを呟いているあさみに呼び掛けるとやっとあさみはあたしの存在を思い出したみたいだ。
「あ、ごめん雪乃。でも雪乃はそのままでいいの。私みたいに化粧を塗りたくらなくたって可愛いんだから」
「あさみの方が可愛いけど」
あさみのメイクは派手だけどメイク上手のあさみはあさみの元の美しさが引き立つメイクをしてると思うし、実際あさみはメイクをしててもしてなくても同じくらい可愛いのを知ってる。
「ありがと。でも雪乃には負けるね。てかそろそろいい時間だし行こうか」
あたしの言葉を適当に流すあさみに少しだけムッとしたけど確かに空も暗くなって来たからクラブに向かう事にした。



