「ほら、綺麗でしょ」

「翔太くん、手鏡に写ってるのは私よ」

「だって、ママ……」

翔太は急に静香に抱きつき泣き出した。

「ママ、ママ」

俺はこんな小さな子供に残酷な事を言ってるんじゃないのか。

その時、静香は翔太の頭を撫でて抱きしめた。

「翔太くんはお利口さんね、大丈夫、男の子は泣いちゃ駄目よ」

まるで母親のように記憶が戻ったのではないかと思わせる態度だった。

このままでもいいのか。

これから三人の思い出を作っていけば……

でもそれは容易いことでは無かった。