イタリアから出られない!

「俺は、翠が好きだ。愛してる」

そう言われた時、私もこの胸の中にある感情の名前を知った。ああ、私もルカさんのことがーーー。

気が付けば、自然と彼に腕を回していた。恐る恐るルカさんを抱き締め、驚く彼を見上げて言う。

「私も、あなたのことが好きです」

そう言うと、ルカさんも私を抱き締める。夕焼けの中抱き締め合うって、何だかロマンチック。今度、絵に描いてみようかな。

そんなことをふと思った私に、ルカさんはフウッと息を吐く。

「両想いで嬉しいよ。でも俺は、好きな人は誰にも見せたくないんだ」

刹那、首の辺りにバチンと衝撃が走り、私の意識は一瞬で暗闇に落ちた。



「……ん……」

目を開ければ、知らない天井があった。周りを見れば高級そうな家具が置かれており、自分が寝かされているのもいいベッドなのだとわかる。

「気が付いた?」

体を私が起こすと、テレビの前のソファに座っていたルカさんが立ち上がり、こっちに近付いてくる。だが、何故か私は彼に恐怖を感じていた。