イタリアから出られない!

あと数人は乗れそうなゴンドラには、私とルカさんしか乗っていない。そのままゴンドラはゆっくりと動き出し、夕日に照らされた街に目が釘付けになる。

「綺麗……」

「でしょ?昼間乗るのもいいけど、夕方も綺麗なんだよ」

ゴンドラは運河をどんどん進んでいく。すると、目の前に立派な橋が見えてきた。

「あれはため息の橋。十六世紀に建てられたんだ」

「そんなに古い時代からあるんですね!」

ルカさんの方を見ると、その距離がグッと近くなる。ルカさんに抱き寄せられたから。

「あの橋にはね、言い伝えがあるんだ」

ルカさんがそう言った刹那、ふわりと唇に柔らかいものが触れる。それはルカさんの唇だった。それに気付いた時、心臓の鼓動がとても早くなり、ルカさんの顔を見れなくなる。でも、顎を掴まれてルカさんの方を向かされた。

「夕方にこの橋の下でキスをした恋人は、永遠に結ばれるって言われてる」

もう一度、ルカさんと唇が重なった。あまりにも優しくて、溶けてしまいそうなほど甘いキスに、体に電気が走ったような感覚を覚える。