イタリアから出られない！

そんなある日、またルカさんと出かける日がやって来た。今日はヴェネツィアで遊ぶ。ヴェネツィアにいるのに、ゴンドラに私が乗ったことがなくて、それをルカさんに行ったら「夕方に乗ろう」って言ってくれたから。

「夕方に出かけるのって初めてだよね……。うわぁ、いつも以上に緊張しちゃう……」

鏡の前で色々な服を着て、どれがいいのか考える。何時間もかけて、ようやくミントグリーンのワンピースを選んだ。襟の部分は白いレース素材でできていて、可愛らしい雰囲気がある。

メイクを済ませ、準備ができた頃に家のドアがノックされた。ドアを開ければ、ブランドのジャケットを羽織ったルカさんが「こんばんは」と言って微笑む。

「こんばんは」

ルカさんがかっこよくて、もうドキドキしている。すると、手をサラリと自然に取られた。

「他の男に奪われるといけないから、こうさせて？」

恋人じゃないのに、と心では思っていてもそう言われことが嬉しくて、私はドキドキしながら頷く。そして、二人でゴンドラに乗れる運河まで歩いた。