私は今も、ADHDの治療を続けている。

春樹が

「兄さんのADHDことで相談にのってくれた親友と会ってくれないかな?」

そう言ったときに、親友というのが大賀さんだと判ったが、私はもう全く動じることなく応じ、何度か3人で会って、大賀さんは医療に関する情報をシェアしてくれた。

話の流れで、大賀さんが1年遅れで社会人になった理由を聞いたが、最初は経済学部に入学したものの、何となく受けてみた心理学の授業がとても興味深かった為、心理学部のある大学を受け直したからとのこと。

長年の謎が解けたものの「なるほどね」と思っただけ。

そういえば、春樹がT大を出たのに地方公務員になった理由を聞いたときは、キュンとしていたくせに、不思議だ。

春樹は、私と大賀さんが知り合いだと知ったところで、何か疑ったりするようなこともない様子だし、私も今、あれほど忘れられなかった大賀さんがこんな近くに居ても、何も感じていない。

この人は、最愛の人の親友。

それ以上でも、それ以下でもない。