結婚に親なんて関係ない、本人同士が良ければそれで良い!

なんて私には出来なかった。

光太郎の母に反発して戦えなかった。

立ち向かう勇気も気力もなかった。

親が居ない私にはやっぱり結婚に親が必要だと思う。

相手方が例え片親だろうとも親が居る以上そこは認めてもらいたいと思う。

私は昼に勤めていた運送会社は辞め、夜のラウンジだけにした。

仕事とは言えとても、濱谷の親族が居る会社に足を踏み入れる勇気は私にはなかった。

「京香さんご指名です」

「はい」

私はそう言われて席に近づくと光太郎が居た。

「よ!」

「なんで昨日の今日で来るかなぁ…少しは一人にさせてくれない?」

「いやいや、悩む時間がもったいないからガンガン行かないと」

ニカッと白い歯を見せて笑顔で言ってきた。

すると、光太郎は胸ポケットから一輪のバラの造花を差し出してプロポーズしてきた。

「僕と結婚してください」

「ごめんなさい」

「なんで!?」

「ごめんなさい」

しゅんとし落ち込み帰って行った。

「どうしたの?さっきお店で公開プロポーズ?痛い客?」

同僚達に聞かれた。

「え…まあ、いや、はは」

また翌日も光太郎はお店にやってきた。

「え?また?」

「僕と結婚してください!」

「ごめんなさい」

「え?なんで!?」

「ごめんなさい」

しゅんとして帰っていった。

その翌日もさらにその翌日もずっとずっと続いた。

お店が休みの日は家に来てまでプロポーズされた。

「僕と結婚してください!」

「ねぇ、これいつまで続けるの?」

「………結婚してくれるまで」

「ごめんなさい」

「だからなんで!?」

あまりにもお店にも連日来るもんでボーイに

「出禁にしましょうか?」

と、聞かれる始末。

「ああ、大丈夫です特に危害はないので。ヤバくなったら自分でなんとかします」

自分の婚約者が不審者扱いされてると思ったら可笑しくて笑えた。