「…やだ」
「やだやだぁ!」
月沢(つきさわ)くん! 氷雅(ひょうが)お兄ちゃん! 起きてよお…!!」

 周りを囲う有栖(ありす)黒雪(くろゆき)の特攻隊長や奇襲隊長のすすり泣く声に、
 膝を落とし泣き崩れる下っ端達。

 夜野(やの)くんの目からは一筋の涙が流れ出て頬を伝い、
 夕日(ゆうひ)ちゃんは夜野(やの)くんに肩を支えられながら耐え切れずに泣く。

 飛高(ひだか)くんは天川(あまかわ)くんの前に崩れ落ちたまま静かに涙を流した。

 月沢(つきさわ)くんと氷雅(ひょうが)お兄ちゃんの傍にいられたらそれだけで良かったのに!

「なんでっ……」

 喉の奥から、堪えきれないように嗚咽を何回も漏らす。
 滑り落ちたふたりの拳を涙で濡らしていく。

 お願い、ふたりとも遠くに行かないで。
 私の傍にいて笑っててよ。

「嫌ぁぁああああああああっ……!!!!!」

 私は発狂すると、

 ふ…っ。
 目の前が真っ暗になり、ふたりに覆いかぶさるように倒れ、私は意識を失った。