イケメン総長は、姫を一途に護りたい

ヒロトくんがそう言ってくれるから、お言葉に甘えて、アジトの中を案内してもらうことにした。



「まず、ここがメインホールっす!」


わたしたちが今いる、みんながゲームで遊んでいるここは、『メインホール』と呼ばれているらしい。


「次は、こっちっす!」


ヒロトくんは、わたしに手招きをする。

わたしは、そのあとに続いた。



昔の建物にしては、中はそれほど老朽化していなくて、2階にも上がることができた。


賑わっている下の声が、徐々に遠のいていく。


「そういえば、咲姫さんって総長と付き合ってるんすか?」

「わ…わたしと、千隼くんが…!?」

「はい。だって、ずっと総長がそばにいるじゃないっすか」

「あれは…、わたしのお父さんに頼まれたからで」


千隼くんがわたしのそばにいてくれるのは、…千隼くんの意思じゃない。