イケメン総長は、姫を一途に護りたい

「カオル!」


それを見ていた千隼くんが、その人のことを呼んでくれた。


千隼くんの声に反応して、すぐにこちらへやってきたのは、透き通るようなキレイな赤髪の人だった。


「なんだ、千隼?」

「咲姫を紹介するよ。慧さんの大切な娘だから、慧流座で責任持って守ることにしたから」

「慧さんの…娘。…ああ、わかった」


『カオル』と呼ばれるその人は、ニコリとも笑わず愛想もない。

だけど、千隼くんのことを名前で呼んでいたから、仲がよさそうなことはわかった。


カオルくんは、千隼くんやヒロトくんとは違って、学ランを着崩すことなく着ている。

まじめさが窺える。


「咲姫。カオルも同じ2年A組だけど、覚えてない?」


千隼くんが、わたしにそう投げかける。

わたしは、腕を組んで少し考え込んでみたけど…。