イケメン総長は、姫を一途に護りたい

これまでは、『昔の幼なじみ』の千隼くんだと思っていた。

だけど、さっきのを見たら、千隼くんって本当に『暴走族の総長』なんだと思えた。



わたしはキョロキョロしながら、千隼くんの後ろを追いかけていく。


「ごめんな、咲姫。驚いただろ?」

「う…うん」

「あんな堅苦しい挨拶はいらねぇって、いつも言ってるんだけど」


千隼くんは、呆れたようにため息をつく。


慧流座のメンバーでわたしが知っているのは、ヒロトくんと金髪と銀髪と緑の髪の人だけ。


でもここには、様々な髪色や髪型をした人たちが、自由に遊んでいた。


「みんな、慧流座のメンバーなの?」

「ああ。ガラ悪そうだけど、根はいいヤツらだよ」


そう言って、千隼くんは優しい目でみんなのことを眺めていた。

まるで、子どもを見つめる父親のようだ。