イケメン総長は、姫を一途に護りたい

見るとそこは、昔のゲームセンターの建物のよう。


潰れてからずいぶんとたっているのか、コンクリートの割れた地面からは草が伸び、外壁は植物のツタで覆い尽くされている。

もう何年も手つかずという状態だ。


どこから入るのかもわからなかったけど、千隼くんは迷うことなく入口を見つけると、中へ入って行った。

手招きをされたわたしも、そのあとに続く。



ほこりっぽくて、薄暗い建物の中。

まるで、おばけが出てきそうな雰囲気だ。


…だけど、向こうのドアからわずかな光が漏れているのが見えた。


千隼くんは、そのドアの前で立ち止まる。


「咲姫に紹介するよ」


そう言って、千隼くんがドアをゆっくりと開けた。


わたしは目に飛び込んできた光に、反射的に顔を歪ませる。


そして、徐々に目を開けると、そこに広がっていたのは――。