イケメン総長は、姫を一途に護りたい

「ああ。あれは、女子寮」


今年度からの共学のために、去年のうちに建てられたんだそう。


「…じゃあ、わたしはあっち?」


そう思ったんだけど…。


「いや、こっち」


千隼くんは、女子寮へ向かおうとするわたしの手首を握った。


不思議に思ったけど、考えてみたら、この学校で女の子はわたしだけ。


わたし1人が、あの新しい女子寮を使うには広すぎる。

きっと、男子寮に空き部屋があって、そこがわたしの部屋になっているんだ。


そんなことをぼんやりと考えていた。



玄関で靴を脱ぎ、スリッパに履き替えると、千隼くんは寮の中をずんずんと進む。


「…あの、千隼くん。わたしの部屋の場所って知ってるの?」


校長先生からは、『202』がわたしの部屋番号だと教えてもらっている。


千隼くんにも、事前に部屋番号を伝えてくれていたのかな?