「…ああ」


あいさつをしてみたけど、千隼くんはプイッと外のほうを向いてしまった。


わたしが前にいるとき、微笑んでくれた千隼くんからは一変。


「…もしかして、なにか怒ってる?」

「そりゃ…、イラつくに決まってんだろ」


そう言って千隼くんは、わたしのほうを向いて机に突っ伏した。


そして、上から目線でこう言った。


「咲姫が他の男にチヤホヤされて、うれしいわけねぇだろっ」


いじけたように、腕枕に顔を埋める千隼くん。


その仕草がかわいすぎて、わたしのツボにドストライクに入ってしまった。


そんな千隼くんにちょっかいをかけたくなって、わたしは千隼くんの髪をツンツンしようと手を伸ばす。


だけど、千隼くんの席との間には隙間があって、手が届かない。


だから、机を軽く持ち上げて、千隼くんの机とくっつけた。