イケメン総長は、姫を一途に護りたい

平然を装って話してみたけど、お父さんはちゃんとわたしの変化に気づいていたんだ。


「…それじゃあ、千隼くんにも迷惑かけちゃったね。こんなところまできてもらって…」

「ちっとも迷惑なんかじゃないよ。慧さんの頼みだから」


暴走族の絆は、たとえ世代を越えても固く結ばれているようで、千隼くんはお父さんのことをとても尊敬しているように見えた。



…と、ここで、隣に座る千隼くんからのまっすぐな視線に気がついた。


なんだか…痛いくらいに視線が突き刺さっているような気がする。


「でも、千隼くんって本当に強いんだねっ。わたし、びっくりしちゃった」


それに耐えかねて、わたしは話題を振った。

だけど、千隼くんからの返事は返ってこない。


「…そういえば、千隼くんも体冷えたでしょ?4月になったって言っても、夜は寒いよね。ホットココアでも作ろうか?」