イケメン総長は、姫を一途に護りたい

それを見て、山根くんがごくりとつばを飲み込んだ。


「…く、くそぉ〜!ママに言いつけてやる〜…!!」


山根くんは泣きべそをかきながらそう叫ぶと、ラブレターを握りしめたまま、暗い夜道へと姿を消してしまった。



まるで嵐が過ぎ去ったかのように、静けさが戻る。


「そういえば千隼くん、どうしてここに――」

「その話はあとでいいだろ。ほら、こんなに体が冷えてる」


千隼くんが、わたしの頬に手を添えた。

冷たくなった頬に、優しいぬくもりがじんわりと伝わってくる。


「とりあえず、中に入らせてもらうから」


そう言うやいなや、千隼くんは軽々とわたしの体を持ち上げた。

ふわっとした浮遊感を感じたと思ったら、すぐ目の前には千隼くんの顔。


わっ…わたし。

千隼くんに、お姫様抱っこされてる…!?