イケメン総長は、姫を一途に護りたい

わたしに告白をしたのは、去年の桜が咲く時期。

そして、今年も桜を見たら、抑えていたわたしへの気持ちが、また溢れ出してしまったんだそう。


それで、こうしてわたしのあとをつけていたらしい…!



「だから、ボ…ボクはただ、咲姫ちゃんをずっと見ていたかっただけだ!」

「そうだったとしても、咲姫が怖がってるだろっ」

「…黙れ、不良!べつに、咲姫ちゃんに危害を加えようなんて考えてない!」

「だったら、そのポケットに隠している右手を見せろ!」


…そうだった。

山根くんはずっと、千隼くんにキメ技をかけられているときでも、右手をパーカーのポケットから出さなかった。


なにかを隠し持っているに違いない。


「まさか、ナイフとかじゃないだろうな…!?」


千隼くんは山根くんの右腕をつかむと、力いっぱいポケットから引き抜いた。