イケメン総長は、姫を一途に護りたい

驚いて足元を見ると、黒のパーカーの男が羽交い締めにされて、もがき苦しんでいた。


一瞬の出来事で、目で追えなかった。

だけど、だれかが助けにきてくれたのだということは、すぐにわかった。


そして、暴れる男に馬乗りになって、関節技をきめるのは――。

なんと、千隼くんだった!


「…千隼くん!」

「咲姫…!ケガはないか!?」

「うっ…うん!」


音もなく現れた千隼くんにはびっくりしたけど、ギリギリのところでわたしを守ってくれた。


黒のパーカーの背中部分には、靴の跡がくっきりと残っていた。


どうやら千隼くんは、男の背中に飛び蹴りをして、そのまま押し倒したようだ。



「は…離してぇ〜!離してください〜…!!」


千隼くんのキメ技に、男が情けない声を上げる。

そんな男が被っていたフードを、千隼くんが鷲づかみにした。