イケメン総長は、姫を一途に護りたい

しかし、わたしが走ると、追うように足音もついてくる。


一体…だれなの!?

なんで、わたしをっ…。


でも、家まであと少し…!!



なんとか家まで走り切り、玄関のドアのノブにしがみつく。


一刻も早く、鍵を挿して中へ入りたい。

だけど、恐怖で手が震えて、なかなか鍵穴に入らないっ…!


背中からは、走ってくる足音が大きくなってくる。


…早くっ。

早く…!!



ようやく鍵が挿さった、――そのとき!


「…咲姫ちゃん」


背後から、わたしを呼ぶ声がする。


その声に、まるで金縛りにあったかのように体が動かなくなってしまった。

そのせいで、鍵を開けることもできない…。


「咲姫ちゃん、…どうして逃げるんだい?」


後ろから、ゆっくりと歩み寄ってくるのがわかる。


「こっ…、こないで!」