イケメン総長は、姫を一途に護りたい

…こわいっ。


まるでロープで縛られたかのように、体が硬直した。


でももしかしたら、ただのわたしの思い過ごしで、まったく関係のない人って場合もあるかもしれない。


…だから、勇気を出して、ほんの一瞬だけ振り返ってみることした。

チラッと、姿を見るだけ――。


するとすぐに、…人影が電信柱の陰に隠れた!


しかし、わたしの目はハッキリとその姿を捉えていた。


今、電信柱の陰に慌てて隠れた人影は、黒のパーカーを着ていたことにっ。


…やっぱり、これまでと同じ人だ!


気のせいなんかじゃない。

ましてや、千隼くんのわけでもない。


明らかに、わたしのあとをつけているんだ…!


恐怖で体が強張るも、なんとか今出せるだけの力で無我夢中で走る。


…あの角!

あの角さえ曲がって、急いで家の中へ駆け込んで、すぐ鍵を閉めれば――。