〈それなら、よかった。それじゃあ咲姫、夜ふかししないで早く寝るんだぞ〉

〈うん!じゃあ、おやすみ〉

〈ああ、おやすみ〉


そうして、お父さんとの電話を切った。


スマホを枕元に置き、頭の上から掛け布団を被ってうずくまる。


目をつむると、暗闇の中に浮かんでくるのは、フードで顔を隠す…黒のパーカーの人。


…まさか、千隼くんじゃなかっただなんてっ。



お父さんがいなくたって、身の回りのことはできるから、1人暮らしもへっちゃらだと思っていた。


たけど今は、そばにだれもいないことが、心細くて、不安で不安で仕方がない。



次の日。


この日は、一歩も外に出ないことにした。

食材は今のところ買い足すものはないし、数日分は今あるもので保ちそう。


ふと、冷蔵庫のマグネットに挟んでいた紙に目が行く。