「…ちょっと、お父さん?なんで泣く必要があるの?」

「だって、咲姫が変な男にそそのかされたりしたら…!」

「それは、心配しすぎだってー」


わたしが言うのもなんだけど、お父さんは一人娘のわたしのことが、心配で心配で仕方がないらしい。


お母さんが病気で大変だから、自分がしっかり咲姫を守り育てないと!

という使命感があるようで。


そのため、門限は17時だし、少しでも帰るのが遅くなったら、電話とメッセージの嵐。


しかも、怒るのではなく…。


〈咲姫がどこかで、事故にあったんじゃないかと思ってぇぇぇ〜…!!〉


と、わたしの身を案じて、泣きべそをかきながら電話をかけてくるのだ。


…もう、本当に心配性なんだから。


単身赴任はするけれど、わたしを1人にさせるのだけが唯一の不安ということはわかった。