…そうか!

やっぱり、千隼くんだっ!


そうだとわかれば、なんだか安心してきた。


無口でクールな千隼くんだから、話しかけてこないのにも納得がいく。


ちょっとそこまでのお出かけのときにも、気配もなく突然現れるなんてすごすぎだよ。

さすが、お父さんが認めた用心棒だ。



その日の夜。

寝る前に、お父さんと電話で話した。


〈やほー!お父さん、元気?〉

〈…咲姫ぃぃぃ!なんだか、1年ぶりの咲姫の声に感じるなぁ…〉

〈も〜。相変わらず、大げさだなぁ。まだ1週間しかたってないでしょ?〉


向こうに行ってからはバタバタしていたらしく、メッセージはやり取りしていたけど、電話はこれが初めて。


〈この前の桜の写真、ありがとうな。こっちはまだ、三分咲きくらいだよ〉

〈そうなんだっ。そっちの暮らしにはもう慣れた?〉