今だから、笑って話せる千隼くん。


「だから、咲姫を守るときくらい無茶させて?だって俺、そのために咲姫のそばにいるんだから」


その代わり、わたしと関係ないときには無茶はしないと、改めて千隼くんは約束してくれた。


わたしはあのとき、本当に千隼くんが死んじゃうんじゃないかと思った。

こわくてこわくて、胸が張り裂けそうになった。


だから、こうして千隼くんのそばにいて、手を繋いで登校できる当たり前の幸せを、わたしはひしひしと噛みしめていた。



冷たかった風が、徐々に暖かさを運んできて――。

淡いピンクの桜が咲き始める、…4月。


皇蘭中学に転校して、1年がたった。

今日から、わたしは中学3年生だ。


そばには千隼くんがいて、わたしたちの関係はなにひとつ変わっていない。


…しかし、変わったことと言えば。