駅前の美容院に行ったとき。

近くのポストに、手紙を出しに行ったとき。

はたまた、徒歩数分のスーパーへ買い物に行ったとき。


気づけば、遠くのほうに見え隠れしているのだ。


…もはやこれは、ただの偶然ではない。


この1週間で、同じ黒のパーカーを着た人を何度も目撃した。

しかも、どれもフードを被って顔を隠している。


…まさか。

これって、…“ストーカー”?


なにがなんだかよくわからないけど、知り合いなら話しかけてきてくれるはずだ。

それを近づきもせず、遠くから眺めているだけだなんて…。


だけどここで、わたしの頭の中にあることがひらめいた。


もしかして、…実はあれが千隼くんだったりするのかな。


『そばに置く』って、そういう意味だったのかな?


なんとなく、背丈も千隼くんに似ているような気がする。