イケメン総長は、姫を一途に護りたい

あんな大勢を相手にしたんだから、千隼くんじゃなかったらとうに倒れている。


しかし、力を使い果たした千隼くんを蛇覇が見逃すわけがない。



「…よくもやってくれたなっ」


足音が響いて振り返ると、そこにはソウゴが立っていた。


そして、血眼になったソウゴが、動けなくなった千隼くんを指さす。


「てめぇら!慧流座の頭が、もう二度とオレに歯向かえねぇように、手でも足でも好きなように折ってやれ!!」

「「うぉぉおおお!!」」


蛇覇の雄叫びが、耳を塞ぎたくなるくらいに轟く。


そして、我先にとわたしたち目掛けて突進してきた。


千隼くんには、もう対抗する力は残されていない。


それなのに、千隼くんはわたしの身を庇うようにして、力強く抱きしめた。

わたしは、そんな千隼くんの腕の中でギュッと目をつむる。