イケメン総長は、姫を一途に護りたい

そして、集団の背中の上を足場にして、飛び越えてきたのだった。


「…なんだよ、あいつ!」


俊敏さを取り戻した千隼くんの動きに、驚いたソウゴが呟いた…その直後。


ソウゴの左頬に、千隼くんの拳がめり込んでいた。



――それは一瞬の出来事だった。


後ろヘ吹っ飛んだソウゴの手から逃れたわたしは、いつの間にか…千隼くんの腕の中にいた。



「咲姫、…わりぃ。こわい思いさせたな」

「…ううんっ。きてくれるって信じてた…!」


しかし、千隼くんはあれが最後の力だったのか――。

足元がフラついたかと思ったら、わたしに力なくもたれかかってきた。


「千隼くん…!?しっかりして!」

「…くそっ。こんなときにっ…」


体に力が入らず、唇を噛みしめる千隼くん。

だけど、…無理もない。