イケメン総長は、姫を一途に護りたい

わたしはソウゴに捕まりながら、ただただ見ていることしかできない。


しかし、わたしの心配をよそに、千隼くんは蛇覇を蹴散らしていく。


千隼くんの拳は、相手を必ずノックアウトにする。

喧嘩じゃ、千隼くんのほうが明らかに上だ。


…徐々に、数が減り始める蛇覇。


もしかしたら、このままいけば…。

本当に、千隼くんが蛇覇を全員倒すかもしれない。


そう心の中で、わずかな希望が見え始めた…そのとき!



――鈍い音が、廃工場に響く。


そして、その音とともに…千隼くんが膝をついて崩れ落ちた。



「千隼くん…!!」


わたしは泣きながら千隼くんの名前を叫んだ。


なぜなら、千隼くんの頭からは血が流れていた。


…わたしは見た。

千隼くんの背後から、鉄パイプを持った蛇覇のメンバーが襲いかかったのを。