イケメン総長は、姫を一途に護りたい

「…咲姫!!」

「ち…はやく…んっ」


酸欠の魚のように、口をパクパクとして千隼くんの名前を呼ぶのがやっとだ。


「…ソウゴ!咲姫を離せっ!!」

「やだね。スカしてるお前が、そんなマジな顔つきになるのを見ると、ゾクゾクするぜっ」

「…てめぇ。咲姫に手ぇ出したら、許さねぇ!!」

「悔しかったら、ここまできてみろよ」


ソウゴは、わたしを使って千隼くんを煽る。


わたしが苦しい表情を見せれば見せるほど、ソウゴは喜び、千隼くんは激怒する。


それに、ソウゴは『ここまできてみろ』と言うけれど、そうするにはここにいる蛇覇のメンバーを全員倒さなくてはならない。


だって、ソウゴはまったく動く気がないんだから。

すべて、部下任せだ。


いくら最強総長と言われる千隼くんだって、こんな人数を1人で相手にするなんて…無茶だ。