イケメン総長は、姫を一途に護りたい

…それから、どのくらいたったのだろうか。


なにかが割れる音が聞こえて、ハッとして目を覚ます。

ロフトの下から物音がした気がする。


千隼くんが帰ってきた…?


それにしては、なにも音がしなくなった。


…夢でも見てたのかな。


そう思って、もう一度眠りにつこうとした――そのとき!



「…お前が、楡野咲姫だな」


月のない薄暗い部屋の中からそんな低い声がして、一瞬にして恐怖で体が強張った。


そして、声を出す暇もないまま口元を塞がれ…。


わたしはそこで、気を失ってしまったのだった。



…ひんやりとした寒さに、目が覚める。

ゆっくりとまぶたを開けると、たくさんの人影がぼんやりと浮かぶ。


「なんだ?もう起きたのか」


わたしは横になっていたらしく、胸ぐらをつかまれて、無理やり体を起こされた。