「これで、よし!」


服を着た千隼くんを背にして、自分のベッドへ戻ろうとしたとき――。


「…キャッ!」


後ろから腕を引かれて、気づいたら千隼くんのベッドの上に倒れ込んでいた。


そのまま布団の中へ引き込まれ、後ろから千隼くんが抱きしめる。


「…なにするの、千隼くんっ」

「今夜は…こうしていたい」


耳元で囁かれる吐息がくすぐったい。


千隼くんは、離ればなれになっていた日々を満たすかのように、わたしを愛おしく愛おしく抱きしめたのだった。



布団の中で、夜遅くまでたくさんの話をした。


わたしが光さんの部屋へ出入りしていた理由。

千隼くんが、勝負にわざと負けた理由。


すべての誤解が解け、千隼くんと両想いになれて安心したわたしは…。


千隼くんの腕の中で眠ったのだった。