「悔しいが、最初から最後まで…僕の負けだ。咲姫は、慧流座…いや、お前に守られるべきだ」


光さんは優しく微笑んでみせると、保健室から去っていった。


わたしと千隼くんは、ゆっくりと顔を見合わせる。


「千隼くん…、これって」

「…ああ。二階堂が、俺たちのことを認めてくれたみたいだな」


その瞬間、緊張の糸が解けて、強張っていた表情が緩む。


額と額をくっつけて、わたしたちは幸せを噛みしめ合ったのだった。



そして、閉会式。


棒倒しでは3年生には負けたけど、結果的に総合優勝は2年生となり、最も活躍した千隼くんが優勝トロフィーを受け取った。



その夜。

202の部屋に、久しぶりにわたしと千隼くんの姿が揃う。


お風呂上がりで、上半身裸の千隼くんの背中に、恥ずかしがりながらもわたしが湿布を貼る。