千隼くんは、電話番号の書かれた紙をわたしに渡した。


「咲姫になにかあったら、すぐに駆けつける。ずっとそばにいるから、安心しろ」


まるで、子ども扱いするかのように、千隼くんはわたしの頭を優しく撫でると、みんなを連れて帰っていった。



みんなが帰ると、部屋は静まり返った。

さっきの賑わいが、まるで嘘のよう。


もう、お父さんもいない。


千隼くんをそばに置くなんて、お父さんが言い出したときはびっくりした。

でも、そうしてくれてよかったのかもしれない。


慧流座のみんな、そして千隼くんがいてくれるおかげで、わたしの寂しさも紛れるのだった。