わたしたちと離れて暮らす、単身赴任という選択を。


そうすれば、お母さんをこっちへ残すことも、体に負担をかけてわざわざ転院させることもない。


「咲姫はもうすぐ中学2年生になるし、料理や身の回りのことも自分でできるから、そこの部分はなにも心配はしてないんだよ」


お母さんが入退院を繰り返していたから、幼い頃から家のことはお父さんと分担していた。


だから、わたしもお父さんがいなくたって、ひとりで暮らしていけるとは思っている。


…ちょっと寂しいだけで。


でも、お父さんが心配していることはそこではないらしい。


「もし、ひとり暮らししてる咲姫の身に…なにかあったらと思うと…。お父さん、不安で不安でっ…!!」


お父さんは、泣きじゃくりながらわたしに抱きついてきた。

わたしのことになると、いつもこうだ。