「…千隼!さっきのは、どういうことだよ!?」


俺の腫れた左頬に、痛いくらいの勢いで湿布を貼りつけるカオル。



ここは、慧流座のアジト。

他のヤツらがワイワイと遊ぶ中で、俺とカオルの周りだけ空気がピリついている。


「まあまあ、カオルさんも落ち着いてくださいっすよ…!」


この場の空気に耐えられなくなったヒロトが間に入る。


「千隼…お前っ、なに勝負に負けたからって、荷物まとめてあっさり引き下がってんだよ!」

「仕方ねぇだろ。勝ったほうが咲姫を守る。そういう決まりだったんだから」


俺は、勝負で二階堂に負けた。

もう、俺が咲姫のそばにいるべきではない。


そう思って、簡単な荷物だけをまとめて部屋を出た。

夏休みの間は、このアジトで過ごすつもりだ。



負けたほうは、咲姫から身を引く。