イケメン総長は、姫を一途に護りたい

カオルくんの話を聞いて、もうわたしがどうのこうので止められる話ではないことを悟った。



「そういえばカオルくんって、千隼くんのことを尊敬した目で見てるよね」


わたしは、明日の勝負が不安で仕方がないけど、カオルくんは千隼くんが勝つと信じて疑わない。


「だって、千隼だし。ケンカも強いけど、心も強いからな。男として、マジで尊敬する」


冷静沈着なカオルくんが、珍しく興奮気味に目を輝かせる。


「咲姫は知らないかもしれねぇけど、慧流座は男しか入れねぇんだよ」

「…そうなの?」

「ああ。でも千隼は、オレが女と知っても、“1人の男”として慧流座に入れてくれた。だから千隼には、恩義と尊敬しかねぇよ」


千隼くんも、カオルくんが女の子であることは知っているんだ。

だからこそ、男として慧流座に迎え入れられたカオルくんは、とてつもなくうれしかったはずだ。