イケメン総長は、姫を一途に護りたい

二階堂さんはそう言うけれど、わたしはなにか理由をつけてでも、2人の勝負をやめさせたかった。


「…それに!パンフレットの撮影まで、あと4日しかないんですよ…!もしケガしたり、顔にアザでも残ったりしたら――」

「咲姫は、僕が緒方に負けるとでも思っているのかい?」


その二階堂さんの言葉に、思わず口ごもる。


二階堂さんが、負ける姿なんて想像がつかない。

…だけど、千隼くんが負ける姿だって、同じく想像がつかない。


――いや。

想像もしたくない。


だからこそ、こんな勝負…してほしくないんだ。



その日、千隼くんは部屋に帰ってこなかった。

何度も電話やメッセージを送ったけど、返信はなし。


門限の時間も過ぎたしおかしいなと思いながら、わたしは女子寮の大浴場に1人でぽつんと浸かっていた。