…そんなこと、聞かなくたって答えはわかりきっている。


「キミを守り抜くためには、“強さ”が必要。だから、強いほうがキミを守る。簡単なことだ」


二階堂さんは、続ける。

わたしを1日でも早く、千隼くんのもとから奪いたかったと。


「どうして…、そこまでしてっ…」

「決まってるじゃないか。咲姫に、惚れ込んでいるからだよ」


二階堂さんは、わたしに目を向ける。


亜麗朱の総長で、皇蘭中学の生徒会長で、勉強もできてスポーツ万能な二階堂さんが――。

わたしに惚れ込んでいるわけがない。


そう思いたかったのに、わたしを捉える真剣な瞳を見たら、これはただの冗談なんかじゃないと思わせられる。


わたしのことを名字ではなく、『咲姫』と呼ぶ二階堂さん。

それはもう、パンフレットのモデルとして必要だったただの先輩後輩という関係ではなくなってしまっていた。