「…え……?」


このときは、二階堂さんの言葉の意味がまだよくわからなかった。



しかし、その3日後。


打ち合わせのために、生徒会室へ行ったとき――。

二階堂さんがわたしのそばを通り過ぎて、後ろにいた千隼くんのもとへ一直線に歩み寄った。


…そして。


「慧流座の緒方。キミに勝負を挑みたい」


…なんと、いきなり勝負を申し込んできた!


好戦的ではない二階堂さんらしからぬ行動に、わたしはただただ驚くばかり。

千隼くんも、「なにを寝ぼけたことを」と言いたそうな顔つきだ。


「…は?勝負?なにをかけて、亜麗朱なんかと今さら――」

「かけるのは……。『楡野さん』だ」


その言葉に、わたしは驚いて二階堂さんに目を向ける。


な…なぜか、わたしの名前が呼ばれた気がしたけど…。